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補足・色空間とICCプロファイル
ここで画像の色空間(カラースペース)とICCプロファイルについて簡単に整理しておきます。
まずデジカメでカラースペースが指定できるものはsRGBかAdobe RGBか(他にもあるけど代表的なのはこの二つ)を選ぶと思うのですが、その画像をどういう目的に使うのかがまず問題となります。sRGBよりAdobe RGBの方が再現域が広いのですが、webで使用する以上Adobe RGBは無意味だし、インクジェットプリントする場合も同様です。一般のパソコンモニターやインクジェットプリンターはAdobe RGBに対応していないからです(最近ようやくAdobe RGB対応プリンターが出てきましたね)。
現在のところ「オリジナル画像はAdobe RGBとして保存しておき、必要に応じてsRGBに変換して使用するのがベスト、でも結局sRGBで使用ずることが大半なのだから、別にsRGBでもいいんじゃない?」というのが僕の結論なんですが。どうでしょう? ま、僕の場合プリンターがPM-4000pxなのでAdobe RGBがまったく必要ない(無意味)という理由もあるんですけどね。
プリント出力時のICCプロファイルについてはみなさん御存知でしょうか?
簡単に言えばプリンターのオート機能に頼らず、画像側にプリンター固有の「癖」のデータを添付してモニター通りの正確な色を出す、という考え方です。
そのためにはまずモニターが正確に調整されていることが前提です。
正確なモニター調整は高価なキャリブレーションソフト(i-1やモナコなど)が必要なのですが、マックなら「システム環境設定」の「ディスプレイ」→「カラー」→「補正」(「詳細モード」チェック入)を使えばかなり正確なキャリブレーションがとれます。
WINの人は、残念ながら、こういう便利なモノがありませんので、せめてモニターの輝度を正確に合わせましょう。
http://puu.luck.jp/GALLERY/newpage4.htm
↑この「おじぎ部長」スケールを使用してください。
さてICCプロファイルですが、一体何なのか?
実はphotoshopのRGBデータ(R152,G25,B10というような数値)には、具体的な色というのはないのです。この3つの数字が同じでも、出力先の機器によって再現される色は異なります。むずかい言葉で書くと「RGBデータの色再現は出力デバイスに依存する」ということになります。
で、具体的な色ではない、ただの数値であるRGBデータに色を与えるための「色の地図」がICCプロファイルだと思えばいいんです。
PM-4000pxにはPM-4000pxの、PX-5000にはPX-5000の、固有の「色地図」(ICCプロファイル)があります。もちろんピクトロにも、フロンティアにも、ラムダにも、デジタル出力機なら必ずあります。PM-4000pxはこのR152G25B10という数値をこの色に変換するぞ、という情報ですね。
単なるRGB数値にすぎない画像データを、それぞれのプリンター特有の「色地図」を添付して具体的な色を作り出す。これがICCプロファイルという考え方です。
昨今のプリンターは顔を自動に補正するとか、そこまででなくても、いろいろなオート機能がついていますが、このICCプロファイル添付方式の場合はこれらのオート機能(「ドライバによる色補正」)をoffにして、「色補正なし」で使用してください。
詳しく書けば本1冊はかるく書ける内容なので、はしょって書きましたが、今後デジタルプリントを真剣に考えている人は必ず勉強した方がいい内容です。
専門書までは必要ありませんが、玄光社の『プロフェッショナル・デジタルプリント』(2730円)はおすすめですので、ぜひ入手してください。
講座、これで終了。ご静聴ありがとうございました。
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